ユマデミー賞ゲーム部門『オクトパストラベラーⅡ』

 

『オクトパストラベラーⅡ』は、ドット絵と3DCGを融合した「HD-2D」のグラフィックで表現されたRPGの最新作。前作から約5年を経て誕生したこのゲームは、変わるべきところは変わり、変わってはいけないところはより強く、魅力的になった、続編として完璧な姿を見せてくれた。

上述の「HD-2D」によるグラフィックや演出、バトルシステムは前作を踏襲している。2Dだけど奥行きのあるフィールドは、どこかになにかが隠されているかもしれないと思わせてくれる。
キャラクターごとで昼夜異なるフィールドコマンドを持っており、街の人がどんな反応をするのか、全部試すまで滞在してしまう。
どんな武器、どんな属性が弱点なにかを手探りで模索するバトルは、コマンドRPGがまだ可能性を秘めてることを証明してくれた。
そのどれもが人の探究心を煽るもので、前作で感じた「オープンワールドの2D化」という感覚を思い出した。

 

 

 

 

一方で、ストーリーのあり方は前作から大きく変わった。前作では「なんとなく一緒にいるだけ」と寂しい雰囲気もあった仲間たちだが、今回は複数のキャラクターで展開するストーリーが格段に増えた。キャラクターに血が通い、仲間という意識が芽生えたのだ。

なにより、まったく異なるはずだった8人の物語がやがて大きなうねりとなり、やがて大きな一つの物語へ収束していく様子は見事。
8人の物語はスタート地点が違っても、ゴール地点は同じだから、散らかった印象もなくなった。

スクウェア・エニックスはこの5年間で、『ライブアライブ』のリメイクやシミュレーションRPGの『トライアングルストラテジー』と、HD-2Dの作品を次々に送り出してきた。同じチームでは『ブレイブリーデフォルト2』も作った。『オクトパストラベラー』はスマートフォンにも展開した。
きっとすべての場面で、たくさんのことを勉強したのだと思う。そこから地続きで『オクトパストラベラーⅡ』にたどり着いたのだと思う。8人の主人公だけじゃない、作った人々の物語も垣間見えるのが、なによりも嬉しかった。