2021年ユマ的アニメ10選

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New ポケモンスナップ

1999年にニンテンドー64で発売された前作から22年ぶりの新作。レール上を自動で進行しながらポケモンの写真を撮り、生態を調査していくシステムはそのままに、ロケーションの幅、登場するポケモンの種類が格段に広がった。

ポケモンの生態というと、本編ではその一端が垣間見える程度で、実際に目の当たりにできることはほぼない。例えば「サンムーン」ではサニーゴを捕食するためヒドイデがバトルに乱入してくる、というのが仲間呼びで表現されていたけど、これはあくまでもシステム的な側面が大きかった。
しかし「New ポケモンスナップ」だと、実際にヒドイデサニーゴを襲っているではないか。

もちろんこれだけじゃない、袋(しっぽ)に餌を詰めるデリバードポケモンを海底に引きずり込もうとするプルリル、花に群がるアブリー。どれも知っていたけど初めて見る姿ばかり。
前作から22年という月日はとても長かったが、その分ありとあらゆるモチーフが詰め込まれた作品だった。

クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』~おわらない七日間の旅~

かつて「ぼくのなつやすみ」を手掛けたミレニアムキッチンが贈る最新作は、「ぼくのなつやすみ」をベースに、「クレヨンしんちゃん」のキャラクターをかけ合わせたアドベンチャーゲームだった。

ストーリーは「クレヨンしんちゃん」の映画を彷彿とさせる内容で、10日を過ぎたところでタイムリープ、1日目に戻ってしまう。
母みさえの故郷・熊本に10日間だけ帰郷するという設定ながら、この展開によって「ぼくのなつやすみ」と同じボリュームを担保していた。

美しい背景美術、日差しと効果音で夏の暑さを表現する様はさすがの一言。少しずつ行動できる範囲が広がり、そのたびにスクショを撮ってた。
クレヨンしんちゃん」と「ぼくのなつやすみ」の組み合わせがこんなにも牧歌的な空気を生み出してくれるとは。これはもはやエポックメイキングと言ってもいい。

ぼくのなつやすみ」との比較というと、登場する昆虫の数はかなり少なめ。まぁPSPで発売された「ぼくのなつやすみ4」から12年ぶりだもんな。このリハビリを経て、さらに凄いゲームを作ってほしい。

ヒットマン3

2017年から始まったステルスゲームヒットマン」リブートシリーズの3作目にして完結編。システム面はもはや完成していて語ることは難しい。3作目ともなると新鮮味を出すのは難しいが、そこを豊富なロケーションでカバーしていた。

ドバイの超高層ビルでの要人暗殺に始まり、ベルリンのクラブハウス、重慶の繁華街と研究施設、メンドーサのワイン工場。イングランドでは私立探偵に扮して事件を解決しながらターゲットに近づくという珍しいミッションもあった。

潜入のしかたも殺し方も実に多彩。変装もできれば裏口からこっそり入ることもできる。拳銃やナイフで強引に殺すこともできれば、毒を盛った食べ物へ誘導することも可能。巨大な箱庭の中には、ありとあらゆる可能性が隠されている。これはステルスゲームではなく、可能性を発見するゲームなのだ。

Tales of ARISE

第一印象は「普通のRPGになったな」だった。かつて格闘ゲームのようと言われていたバトルシステムは簡略化され、今では誰でも遊べるように。CGのクオリティや、単純に頭身が上がったせいだろうか、会話シーンのオタク臭さも過去に比べると鳴りを潜めた。まぁそれでも、キャラクターにミスマッチな会話もあったけど。

これは多くの人に、最大公約数的に受け入れられるために必要な変化だったと思う。このゲームに対する「普通のRPG」という評価は、僕は最大限の褒め言葉だと思っている。
普通というのはいつまでも変わらないことではない、時代によって変わること、変われることを指す言葉だ。

ちなみに本作のストーリーは中盤から終盤にかけて、ダイナミックな展開を見せる。バトルや育成といったシステム面が最大公約数で受け入れられるだけに、ストーリー展開だけが好みを分けるポイントだろうな。

フォルツァホライゾン5

もはや「マインクラフト」と並び、Microsoftの代名詞的作品だと思う。「マインクラフト」はMicrosoftの作品なのかという議論はさておいて。「Halo」にも「Gears」にもない力強さと安定感がある。

広大なオープンワールドの中に多彩なコースがあり、好きなようにレースを繰り広げていくドライビングゲーム。
メキシコをモチーフにしたマップは市街地から砂漠、山岳地帯に海岸線もレース会場に。15分以上かけて大陸を一周するレースは、本作の象徴と言えよう。

マニアックなマシンチューニングもできるけど、とりあえず一番数字の高いマシンを買っとけば問題ない大雑把なところも魅力だと思う。僕も含め、車に興味ある日本人ても薄くないからね。
レースに勝つだけでなく、写真を撮ったり、ジャンプの飛距離を競ったりと多彩なミッションがあるのも面白い。遊び心の数々は、オープンワールドのお約束を踏襲している。

ちなみにこのゲーム、僕はXBOX GAME PASSに加入してプレイした。1ヶ月目の価格は100円。そんな常軌を逸したコストパフォーマンスも、評価を高めた一因なのは間違いない。

twelve minutes

これもXBOX GAME PASSでプレイした作品であり、2021年を代表するインディーゲームだと思う。

「twelve minutes」はとある一室で起こる12分間の事件をひたすら繰り返していくアドベンチャーゲーム。1回目で得たヒントを頼りに2回目の行動を変え、さらに3回目、4回目と手法、切り口、目の付け所を変えていく。プレイヤーの行動に対するNPCのリアクションも多彩で、それがまたヒントになっていることも。
ある意味天井から見下ろす画面のすべてがヒントであり、それゆえめちゃくちゃ難しい。ヒントっぽいものが多すぎて、どこから手を付けていいのかわからないのだ。

そんな数あるヒントの中からベストの判断をして、ストーリーが進んだ瞬間のカタルシスは格別。ホラーゲーム顔負けの不気味な雰囲気も相まって、唯一無二のゲームに仕上がっている。

ウマ娘 プリティーダービー

2月に配信されてから10ヶ月、この10ヶ月はスマートフォンアプリの市場も自分の生活も、以前とまったく異なるものだった。

パワプロ」のサクセスそのままの育成は分かりやすい。サクセスをプレイしたことがある人なら、すぐにコツを掴めたはず。練習を失敗する確率との付き合い方とかね。
リリース当初は完凸前提のサポートカードややる気がすぐに下がるゲームシステム、全体的な更新の遅さが批判の的になったけど、それも昔の話。いわゆる凸アイテムの実装やバランス調整でどんどん良くなった。10ヶ月でこれだけできれば、十分に及第点だと思う。

なにより良かったのはレースの演出。巧みでなめらかな実況とカメラワーク。そしてすました顔のウマ娘も、いつも笑顔のウマ娘も、レースではみんな必死の形相になる。このゲームが面白いゲームで終わらず、すごいゲームとして見られるのは、この演出あってことだ。

メトロイドドレッド

僕が本格的にメトロイドヴァニアにはまったのはここ数年のこと。だからもちろん「メトロイド」シリーズをプレイするのもこれが初めて。

本来のメトロイドヴァニアは広大なマップを駆け回りヒントを見つけ、徐々に行動範囲を見つけていくという流れ。ときにはどこへ行けばいいか分からず右往左往することもある。
本作の場合は迷う瞬間がほとんどなかった。新しい武器を見つけると自然と新しいルートへと誘導され、また新たな障害にぶつかる。
ここまで自然に、流れるように誘導されるともはや「ゲームさせられてる感」はほぼ感じず、むしろストレスゼロのメトロイドヴァニア体験を提供してくれる。

そんな作品において大きな障害となるのがE.M.M.I.と呼ばれるロボット。特定のエリアに到達するとものすごいスピードで襲いかかってくる。
このE.M.M.I.からいかに逃げるか、メトロイドヴァニアの、というか横スクロールアクションの経験が試されている気がした。

NUTS

人里離れた森を舞台にした、リスの観察ゲーム。少ない色で表現された森の中でプレイヤーは複数のカメラを設置して、リスの動きを追跡する。
リスの動きは文字通り縦横無尽で、何度もカメラを設置し直して、さまざまな角度から森を捉える必要がある。3D空間を巧みに活かしたパズルゲームだ。

もうひとつの魅力はストーリーにある。はじめは単純にリスを追いかけるだけだが、やがてリスだけでなく、その裏にいる人間の影も…。
不穏なストーリーがどのように動いていくのか、そこにリスとプレイヤーはどう関わっていくのか。ちょっと異常で、異質なゲーム。音楽がほぼ存在せず、静かで不気味な雰囲気もとてもいい。


すばらしきこのせかい

ポケモンスナップ」から22年ぶりの新作、「ぼくのなつやすみ4」から12年ぶり、と久しぶりの新作が相次いだ2021年。これもまた久しぶり、ニンテンドーDSで発売された前作から14年ぶりの新作となった「新すばらしきこのせかい」は、間違いなく年間のベストと呼べる出来栄えだった。

前作は2画面、タッチパネルといったDSの特性を限りなく活かしていて、常に上下の画面を気にして、ボタンとタッチペンの両方を絶え間なく動かす、良い意味での忙しさが魅力のRPGだった。ひょっとしたら任天堂以上にハードを使いこなしているのでは、と思わせるほどの傑作だった。

だから普通のハードで発売されてしまっては、内容も普通になってしまうのでは、と思ってたけど、杞憂だった。
4つのボタンとLR、合計8個に割り振られる攻撃は前作にもあったバトルの忙しさを見事に再現。ゲームを進めると自然と攻撃のバリエーションも幅広くなるので、通常のバトルですら新たな発見の繰り返しだった。中には使いづらい“ハズレ”の攻撃もあるのだけど、それもまた発見の楽しさに置き換わるのだ。

ストーリーは前作を踏まえた上での集大成。勝手知ったるキャラクターが意外な形で登場するのは、これまで「すばらしきこのせかい」という作品を追い続け、待ち続けてきた人へのご褒美みたい。

渋谷の街の再現、その街に売られている食べ物で成長する独特のシステム、一戦ごとに難易度を細かく変えられる振れ幅の大きさ、シリーズを通して評判のいい音楽。よかったところを挙げるときりがない。「すばらしい」以外、このゲームを評価する言葉が見当たらない。

 

歴代ユマデミー賞一覧

2006:『ポケモン ダイヤモンド・パール
2007:『すばらしきこのせかい』『蒼い空のネオスフィア
2008:『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット
2009:『ようこそひつじ村ポータブル』
2010:『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生
2011:『メルルのアトリエ~アーランドの錬金術士3~』
2012:『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園
2013:『グランド・セフト・オートV
2014:『DARK SOULSII』
2015:『ウィッチャー3』
2016:『ポケモンサンムーン』
2017:『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
2018:『オクトパストラベラー』
2019:『SEKIRO』『ドラえもん のび太牧場物語
2020:『To The Moon』
2021:『新すばらしきこのせかい