2020年ユマ的アニメ10選

 

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空挺ドラゴンズ

 

 

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テレビ放送と時を同じくしてNetflixで全話配信されたアニメ。最初は「せっかく配信されてるんだから見よう」くらいの気持ちだったけど、結局一気に全部見てしまった。

  

本作は、龍と呼ばれる生物が棲息する世界観を舞台に、龍を狩って生計を立てる「龍捕り」たちを描く群像劇。龍とのバトルも盛大に盛り込まれているけど、スピード感よりも雄大さを感じた。

 

龍捕りたちのキャラも立ってて、ただの脇役と思ってた奴らが意外と前に出てきたりする。ジローとカーチャのエピソードは特に良かった。じっくり描いた甲斐があった。

 

 

 

かくしごと

 

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 さよなら絶望先生』の久米田康治が原作を手掛ける作品。キャラクターデザインも『さよなら絶望先生』っぽさを意識していて、シンプルだけどみんなかわいい。後藤姫もかわいいけど特に墨田羅砂がいい。

  

娘に漫画家であることを隠し通そうとする父と、その娘の日常を描いた本作。漫画家稼業のところに絶望先生ライクなブラックユーモアを残しつつ、むしろメインは父娘の心温まるストーリー。いわゆる日常系にはとどまらない、クライマックスに向けた仕掛けも用意されていて驚きもあった。

 

邪神ちゃんドロップキック’

  

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時期的にはちょうと緊急事態宣言のタイミング、放送延期が相次ぐ中で『邪神ちゃんドロップキック’』はむしろアマプラで一挙に配信してくれた。邪神ちゃんが血中アニメ濃度の低下を防いでくれたのは間違いなく、実際僕は何回も見返した。

 

 邪神ちゃんとゆりねの関係を深く描いた第1期に対して、第2期ではぴのやぽぽろん、ぺこらといった天使側も大胆にフィーチャーされていた。第9話のぽぽろんはまさにその象徴。

波よ聞いてくれ

  

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札幌在住、スープカレー屋で働く鼓田ミナレがワケも分からずラジオDJデビュー。全12話かけてラジオにかける熱量を見せ続けた作品だった。

 

最初はどうやって楽しめばいいか分からなかったけど、1話を見返して冒頭の架空実況を改めて目の辺りにすると、自分もラジオの視聴者という立場になればいいのかと気づいた。それからは見方が一気に変わって、ミナレの一挙手一投足、ラジオ局の一挙手一投足が気になるようになった。

 

 

僕が特に印象的だったのがミナレの息遣い。別に編集できればいいのに、あえて息を吸う音、吐く音もすべてアニメの中に収められていた。間違いなく『波よ聞いてくれ』の世界で、鼓田ミナレは生きていた。

 

 

アクダマドライブ

 

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 ダンガンロンパ』の小高和剛が原案を務めたオリジナルアニメ。カントウとカンサイ、2つに分断された国を舞台に、犯罪者「アクダマ」たちのクライムアクションが描かれる。

 

ひょんなことから事件に巻き込まれ、自分もアクダマとみなされてしまった一般人のキャラクターが際立っていた。一般人は自身を詐欺師と偽りアクダマたちに付いていくが、最初は文字通りついていくだけ。でも徐々に成長し、いつしか本当の詐欺師と言えるくらいの存在になる。一般人の成長譚だと思う。

アサルトリリィ BOUQUET

 

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 オリジナル作品としてのストーリーやアクションもそこそこに、梨璃と夢結を基準に百合の距離感をフィーチャーした作品。距離感はいろいろだけど、梨璃と夢結以上、以下の線引きがあって面白かった。特に1話から近すぎる楓さんが。

 

5話「ヒスイカズラ」は夢結が梨璃の誕生日に向けてプレゼントを用意する、作中では異色の存在。戦いから離れて奔走する夢結と田舎の情景は『そにアニ』第7話を彷彿とさせる、2020年屈指のエピソードだ。

 

 

アサルトリリィは舞台に始まり今回のアニメ、そしてゲームも控えている。会心の出来だったアニメもまだ女装の段階。ゲーム次第ではもっと大きな作品になると思う。

 

魔女の旅々

 

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 基本的に1話完結で、魔女のイレイナが個性的な国を旅する物語。どの国も個性的で、美しいビジュアルも相まって毎週楽しみにしてた作品。

 

ストーリーは後味の悪いものからコミカルなものまでさまざま。さらに後味の悪さにも、人の死が関わるシンプルなもの、思わせぶりなところで終わる不気味なものと多彩だった。

 

それでも毎週一貫して楽しめたのは、きっと旅人であるイレイナの歯に衣着せぬ物言いと性格が一貫してたから。中心に一貫した人物がいるとそれだけで安心感につながる。だからイレイナはすごいのだ。

 

デカダンス

 オリジナルアニメとして事前の情報を抑え、第1話と2話で種明かしする構成で一気に引き込まれた。そこで燃え尽きるのではなく、3話以降は冒険活劇の様相で盛り上がりを作ったのも良かった。

 

現実とゲームの世界が反対になった、一見しただけではなかなか理解できない世界観。僕も2回見て、公式サイトの解説も見てようやく理解した気になれた。

 

でも理解する以前から面白いと思えたのは、カブラギとナツメの人間ドラマという分かりやすい軸があったから。SFの設定はこのアニメの肝だが、なくても多分楽しめる。そのさじ加減がまず凄い。

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会

 

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ラブライブだけどラブライブじゃない、新しいラブライブ像を築いた作品。僕はぶっちゃけ今までのラブライブはあまり好きではなかった。あくまでロマンを追い求める理想主義と、それを支えるご都合主義の塊だったから。

 

しかしこの最新作は、「ラブライブなんか出なくていい!」の号令とともに現実主義をひた走る。あくまでも自分たちにとって理想のスクールアイドルを追い求めた。

 

「スクールアイドルがいて、ファンがいる。それでいいんじゃない?」のセリフはその象徴。ファン代表としての高咲侑がいつも中心にいたのも納得。これまでアイドルのためにあったラブライブは、ファンのためのラブライブになった。

 

乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…

 

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乙女ゲームのオタクが乙女ゲームの悪役に転生する物語。異世界転生はたくさんあってもこのアイディアはなかなかなかった。いや僕が原作を知らないだけかもしれないけど、アニメとなるとなかなかない。それを男のオタクが楽しめる作品に仕上げているのが嬉しかった。

 

物語は悪役令嬢が回避するため奔走する、コメディ色満載の作品。コミカルな演出は内田真礼さんの声優力に委ねられている部分が多く、見事に応えていた。

 

僕は、声優はアニメを作るスタッフの1人に過ぎないと思っている。でも、このレベルで作品の面白さに直結する例外も確かにある。

2020年ユマ的音楽10選

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King Gnu「CEREMONY」

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その名を全国に轟かせた前作『Sympa』からちょうど1年のスパンでリリースされたKing Gnuのメジャー2ndアルバム。
まずたった1年で作り上げたことが今の音楽シーンから逆行していてすごいことだ。最近は2、3年かかるのが当たり前だし。

 

このアルバム最大の凄さは世間が思うKing Gnuの凄さをそのまま体現しているところだ。ポップミュージックにソウル、ヒップホップ、クラシックまで取り入れるミクスチャーロック。
そんなみんなの心の中にあるKing Gnuを、数々のタイアップソングとともに表現しきった。やりきったのだ。

 

もうひとつKing Gnuの特徴として、転調の多さが挙げられる。それがもっとも力強く発揮されているという意味で、僕は“どろん”でも“白日”でもなく、重々しい4つ打ちから華麗に転調を決めてみせる“飛行艇”こそがアルバムのハイライトだと思う。

 

宮本浩次「宮本、独歩。」

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エレファントカシマシのボーカルとして、30年以上に渡り日本ロック開催重要人物として走り続けた宮本浩次のソロ初アルバム。そもそもソロとしてなにをやるのか、という疑問に満願回答を見せたアルバムだ。

 

全12曲中9曲がタイアップ曲で、中には椎名林檎東京スカパラダイスオーケストラとのコラボ曲もある。
タイアップもコラボも、その中でいかに個性を出すかが課題になるが、聞けば分かる通り見事に宮本の曲になってる。“獣ゆく細道”を聞いて、「椎名林檎の曲」と印象を持つ人は、なかなかいないだろう。

 

こんなにもバラエティ豊かな楽曲をスマートに歌ってみせる宮本は、エレカシ時代はあまり考えられなかった、いや、タイアップ自体はエレカシのときもあったけど。だからこそ、“解き放て、我らが新時代”みたいな、いつもの宮本も強く光り輝く。

 

SHE'S「Tragicomedy」

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フロントマンの井上竜馬が「心」をテーマに作ったコンセプトアルバム。タイトルの「Tragicomedy」は悲喜劇を意味しており、そのタイトル通り喜びも、悲しみも包み込んだ作品。

 

前作「Now & Then」における「Dance With Me」のような決定的なアンセムはないが、むしろアルバムとしてのバランスは高くなった。コンセプトアルバムに主役になってしまう楽曲は必要ない。
ピアノロックで優しさと哀愁を同時に表現した“Letter”、「戦いに負けようとも 続く道があるよ」とバンドの哲学を反した歌詞が印象的な“Your Song”。それも名曲だが、アルバムを構成するパーツとしても機能しているのが素晴らしい。

 

米津玄師「STRAY SHEEP」

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思えば前作「BOOTLEG」は、米津玄師史上類を見ないほど外側に広がった作品だった。たくさんのタイアップ曲があって、菅田将暉池田エライザ、そして戦友初音ミクともコラボして。

 

それから一転して新作の「STRAY SHEEP」は、ゲストボーカルとして参加したのは野田洋次郎くらい。むしろFoorin、菅田将暉へ提供した「パプリカ」「まちがいさがし」のセルフカバーを収録するなど、米津玄師個人にフォーカスを当てている。
外へ広がるのではなく、より内側へ。売り方としてはむしろ逆行していそうなこのアルバムがヒットを記録したことには大きな意義がある。米津玄師は米津玄師のままでいいのだ。

 

あいみょん「おいしいパスタがあると聞いて」

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記事の冒頭、King Gnuの項で「アルバムの制作に最近は2、3年かかる」と書いたが、2020年に限ってはハイペースなミュージシャンが多かった。SHE'Sも、このあいみょんも2019年に続いてのアルバムリリースだ。
あいみょんの場合は楽曲のストックが数百区もあるというのだから、このくらいのペースは造作もないんだろうな。

 

自身が経験したすべての年代、すべてのジャンルを飲み込み、すべての感情を音楽に変換する。自分のものにしているからまったく揺るがない。この強度と靭やかさが如実に現れた名盤。

Vaundy「strobo」

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僕は日本のミュージックシーンにおける天才は3人しかいないと思っている。早川義夫中村一義と米津玄師だ。2020年に突如現れたVaundyは、ひょっとしたら4人目にカウントできるかもしれない。

 

若干19歳にして作詞、作曲、アレンジをすべて自分でこなす破格の才能。自分でこなすだけならほかにもいるかも知れないが、アルバムとして軸を作り、まとめ上げるセルフプロデュースの能力を併せ持つ人はまぁまずいないはずだ。

 

“灯火”の高揚感を煽るサビに始まり、ギターロックとしての“怪獣の花唄”、R&Bとしての“napori”、かねてからMVがバズっていた“東京フラッシュ”も含め、全11曲、たった36分の中で実に多彩な表情を見せてくれる。というか、この人の才能を見せつけるには、たった36分で十分なのかもしれない。

 

そしてアルバムの終盤“僕は今日も ”では「あなたはカッコイイから イケメンじゃなくてもいいんだよ」と歌う。
これって早川義夫が50年以上前に生んだ「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」と一緒じゃん。思想、哲学に至るまで天才のDNAが受け継がれている。やはり破格だ。

 

ЯeaL「ライトアップアンビバレンツ」

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ЯeaLが3年前にリリースした前作「19.」のとき、ボーカルのRyokoは明らかに焦り、苛立っていた。それをすべて言葉に変換したのが、19歳の肖像たるアルバム「19.」。
3年経って22歳になったこのスリーピースバンドが生んだアルバム「ライトアップアンビバレンツ」は、とても大人になった。

 

モダンな言葉遣いは残しつつ、アレンジはギターサウンド一辺倒ではなくなった。メロディーに対する音が一つ一つデザインされるようになった。Ryokoのソロ名義での楽曲という飛び道具まで入っている。

10代のモラトリアムを抜け出して、今出来おることへの可能性を見出した22歳の肖像的作品。

 

宮本浩次「ROMANCE」

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宮本にとって2020年2枚目のアルバムは、昭和から平成にかけての歌謡曲を集めたカバーアルバムだった。収録曲は松田聖子中島みゆき岩崎宏美など、女性シンガーのものがほとんど。

 

エレカシ時代から荒井由実の“翳りゆく部屋”をカバーしたり、“彼女は買い物の帰り道”という歌を歌ったり、女性目線を詩で表現することもあった。カバーアルバムではそんな、エレカシ時代にもあったけど、あまり出せなかった表現を全面に押し出している。
「あくびして死ね」と叫ぶ宮本も、「明日も頑張ろう」と励ます宮本もいない。54歳にして全貌を見せた、新しい宮本の姿だ。


サニーデイ・サービス「いいね!」

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スミスの“The Boy With The Thorn In His Side”をイメージした1曲目から始まるサニーデイ・サービスのニューアルバム。
終始爽やかな演奏とザラザラとしたギターサウンドサニーデイ・サービスらしさが随所に見られる。やってることはとても若々しく、バンドを知らない人が先入観を持たずに聞いても「いいアルバム」と言ってくれそうな仕上がり。

サニーデイ・サービスがデビューしたのは1995年。その後くるりGRAPEVINE中村一義スーパーカートライセラトップスが相次いでデビューした。新たな世代が、新たな時代を作った時期だ。
25年が経って、解散するバンドもいれば、楽曲に変化が見られるバンドもいる。その中で、サニーデイ・サービスらしさを見せてくれたことがなによりも嬉しい。

 

サイダーガール「SODA POP FANCLUB 3」

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2017年にメジャーデビューしてこれが早くも3枚目のアルバム。短期間でどんどん良くなるバンドの姿をダイレクトに反映した作品だと思う。

 

自ら「炭酸系サウンド」と表する音楽は健在で、爽やかな音が10曲も並ぶ。メロディーメイカーとしての彼らの才気を疑うのは難しい。
でもそれだけじゃない。ダンスチューンの側面を見せる“フューリー”やホーンセクションが新しい“クライベイビー”。なによりポップミュージックに意外性を持たせた“週刊少年ゾンビ”はサイダーガールを代表する一曲だ。

2020年12月26日~2021年1月3日の取材記事

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5回もやった『アサルトリリィBOUQUET』のインタビューはこれでラスト
原作であるアクションドール、そしてアニメが生まれるまでを振り返ってもらった
話す前はどんな人なのかとビクビクしていたけど、原作者の方もプロデューサーもめっちゃ喋ってくれる人だった。

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その『アサルトリリィ』の2人よりさらにいろいろ話してくれた『D4DJ First Mix』水島精二監督のインタビュー。個人的には結構面白くなってるんじゃないと思ってる。『D4DJ』をアニメにできるのは多分この人しかいなかった。

 

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『アサルトリリィBOUQUET』『D4DJ First Mix』で合計7つもインタビューして、その裏でこっそりやってた『LIP×LIP FILM×LIVE』のインタビュー。話を聞いたのはHoneyWorksのメンバー3人。
別にこれがLIP×LIPのゴールではなく、これから先も成長し続ける。これが聞けただけで良かったんじゃないかと僕は1人満足してる。

2020年ユマ的ゲーム10選

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To The Moon

 

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カナダのデベロッパー・Freebird Gamesが手掛けたアドベンチャーゲーム。もともとは2011年にPCでリリースされ、実に9年の時を経てSwitch版が2020年に配信となった。

 

思い残すことなく人生最後の時を迎えてもらうため、その人が叶えたかった夢を記憶の中で叶える、というストーリー。プレイヤーは、人の記憶の中に入れる技術を持った職員を操作することになる。

そして作中で記憶に潜る相手は、「月に行きたい」と願う老人。今にも息絶えそうな老人の記憶の中に入り、あの手この手を尽くして記憶の書き換えを目指す。

 

このゲームは「RPGツクール」で制作されており、グラフィックはまさに“あの感じ”を踏襲している。前時代的とも言っていい。また戦闘があるわけでもなく、ストーリーを読み進め、たまにパズルを解くくらい。ゲームとしてはかなりシンプルだ。

しかしそんなことどうだっていいのだ。このゲームの中に流れる永遠のような時間と音楽、そして音楽。どれをとっても素晴らしく、12ヶ月経って今でも鮮明に思い出せる。スクリーンショットの1枚を見ただけで、美しい結末がフラッシュバックして鳥肌が立つ。体験としてのゲームだ。

 

老人はなぜ「月に行きたい」と願うのか、その裏に隠された秘密とは…。

SFであり、ファンタジーであり、恋愛であり、青春でもある。これを体験できる。だからゲームはすごいんだ。

 

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グノーシア

 

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2019年にPS Vita向けに発売されたアドベンチャーゲームをSwitch向けに移植した作品。PS Vitaは2019年の時点ではっきり言って死に体で、このゲームもSwitchでようやく日の目を見るチャンスを得たと言っていい。

 

本作は宇宙船を舞台に、人狼ゲームを1人で何度でもプレイできるのが特徴。一癖も二癖もある仲間たちの中から、人狼である”グノーシア”を見つけていく。ルールや参加人数はプレイする度に変わり、時にはプレイヤー自身が人狼として、仲間だったキャラクターを手に掛けることも。

そして、何度も何度も人狼ゲームを繰り返すうちにストーリーは進み、宇宙船でなにが起こっているのかが明らかになっていく。

 

人狼ゲームはかなりガチで、ベストを尽くしても負けてしまうことがしばしば。とはいえ1周が10分~15分くらいなので、ストレスを感じることは少ない。というか、謎が謎を呼ぶストーリーと、異常なキャラクターの異常なセリフを前にしたら、途中でやめる選択肢はまず生まれない。エンディングを迎えるための、極めてゲーム的な演出も見事だった。

 

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BEYOND BLUE

 

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広大な海を探索する海洋アドベンチャーゲーム『BEYOND BLUE』。色鮮やかな海中を舞台にした『ABZU』、クラフト要素を詰め込んだ『Subnautica』など色々あるけど、本作はあくまでリアル志向。それもそのはず、本作は「ブルー・プラネット」などのドキュメンタリーで知られるイギリス公共放送・BBC協力のもと制作されたのだ。

 

プレイヤーはマッコウクジラの調査をする科学者となり、潜水スーツを身に着け自由に海を探索する。美しいサンゴ礁や楽しげなイルカたちもさることながら、一番の魅力はやっぱり怖さだと思う。

自分より何倍、何十倍もあるクジラが間近に迫る怖さ、少しでも深く潜れば暗闇になる怖さ、得体の知れない生物と遭遇したときの怖さ。海の中できっと出会うであろう恐怖の数々を疑似体験できる。同時に、独特の恐怖から抜け出して調査船に戻ったときの安心感…。

 

このジャンルでは、かつてPS3で発売された『AQUANAUT’S HOLIDAY』以来の会心作。

 

 

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ファイナルファンタジーVII リメイク

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空飛ぶ敵をロックオンしたときカメラがグニャグニャ動くのは本当にどうにかしてほしいと思いつつ、それでも『ファイナルファンタジーVII リメイク』を、2020年を代表するゲームに入れないのはちょっと難しい。

 

言わずと知れた『ファイナルファンタジーVII』を、2020年のゲームとしてリメイクした作品。しかしリメイクと言いつつストーリーはかなり変化が見られ、リスタートとか違う呼び方のほうがふさわしい気がする。

 

変化を加えて新しい驚きを与えたストーリー、コマンドにちょっとしたアクションも加えたバトルシステムは高い次元でまとまっている。

そして何より素晴らしかったのがミッドガルの再現具合。昔は想像力で補っていたミッドガルの錆びついた町並みが、違和感なく表現されていた。

 

だから僕は言いたい。もっと先の街も見たかったよ。ワールドマップがどうなるかも見たかったしユフィも見たかった。

「分作でよかった」なんて納得したくもないけど納得せざるを得ないのが現状である。だからせめて、この先のロードマップを見せてほしい。このゲームの問題点は、不満はないのに不安がつきまとうことだ。

 

 

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Ghost of Tsushima

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アサシンクリード ヴァルハラ』や『サイバーパンク2077』、あるいは『The Last of Us Part II』がしょーもない理由で評価を落とす中、『Ghost of Tsushima』は裏切ることなく約束を果たした。

 

鎌倉時代対馬を舞台にしたこのオープンワールドゲームは、“普通に面白い”を極限まで研ぎ澄ましたような作品だ。

これまでのオープンワールドと比べて、ずば抜けたなにかがあるわけではない。メインミッションを繰り返してるうちに飽きてくる、オープンワールド特有の弱点もそのままだ。

 

しかし、日本人だから分かる日本の空気感、『七人の侍』を意識したストーリーライン、一騎打ちにチャンバラ、ステルスキルまで自由に選べる戦闘。そのどれもが的確で、きれいに組み立てられている。

海外のスタジオが、日本を舞台にしたゲームを作るなんてアウトローな企画が、結果的にとても優等生的作品に仕上がった。上述の通り、問題作の悪い面がクローズアップされがちな2020年のゲームシーンにおいて、とても貴重な存在だったのは間違いない。

 

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ori and the will of the wisps

 

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いつまで経っても『Hollow Knight: Silksong』が発売されないメトロイドヴァニア界隈にとって、『ori and the will of the wisps』がSwitchで発売されたのはある種の救いだった。

 

前作『オリとくらやみの森』のアクションを踏襲しつつ、砂に潜ったり、水中を素早く泳いだりといった新要素が追加された。行けなそうで行ける場所が増え、それに伴い行けそうで行けない場所も増えた。メトロイドヴァニアは数あれど、ここまで探究心をくすぐるゲームはなかなか出会えない。

 

ボスとのバトルというのも、前作以上にフィーチャーされていると感じた。前作が棘の床をいかに回避するか、みたいな「スーパーマリオ」的アプローチがメインだったが、これにボスバトルというプラスアルファが加わった。

難易度は全体的に高めだが、ロードもないのでリトライにストレスはかからない。そもそもこのジャンルで難しさを気にする人はいないと思うが。

 

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ゼルダ無双 厄災の黙示録

 

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無双シリーズ不毛の地、海外でも売れてるらしい。それはゼルダゼルダである所以でもあるのだけど、売れたこと以外にもこのゲームが世に送り出された意味はあると思う。

 

本作では、2017年発売の『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』から100年前に起きたことが描かれる。より正確に言えばifストーリーなので、100年前になにが起こったかを描きつつ、決して悲しい結末にはなっていない。

ifではなく、なぜ100年後があんな荒廃した世界になってしまったのかを克明に描いてほしかった人もいると思う。というか僕もその1人だけど。

でも正直そんなことはどうでも良くて、『ブレス オブ ザ ワイルド』のグラフィックで、あの世界を、あのキャラクターたちが活躍してくれることに意義があるのだ。あのワールドマップを見て、まだこの世界を冒険したいと思わせたから、このゲームは勝ちなのだ。

 

現在制作中の『ブレス オブ ザ ワイルド』続編が生まれる前に僕達の目の前に現れた『ゼルダ無双』。本編前のスピンオフとして、こんなに完璧なゲームあっただろうか。

 

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あつまれ どうぶつの森

 

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DIYを作成するときのUIとか、手に入れたアイテムの管理とか不便なところもたくさんある。そんな不満点を圧倒的な物量と、コミュニケーションという人類最大の娯楽でねじ伏せた快作であり怪作。

 

捕まえられる虫や魚の数がまず膨大で、1ヶ月ごとに変化があるんだからまったく追いかけられない。それに加えてDIYのアイテムまであるから、きっとコンプリートという言葉自体が存在しない。圧倒的な物量である。

 

そして自分の島にほかのプレイヤーを呼び、時にはこちらから訪問するコミュニケーションがある。

別に自慢し合うだけじゃない。腐ってしまいそうなカブをほかの島で売りさばき資金を集める、生活のためのコミュニケーションも確実に存在していた。僕自身全然知らない人に助けてもらった。

 

僕は、傑作を傑作たらしめるのは文脈だと思っている。レディオヘッドの「キッド A」が最高傑作と言われたのは、20世紀の最後に音楽の未来を提示したからだ。作品のクオリティと、「20世紀の最後に~」の文脈が噛み合ったことで傑作に昇華したのだ。

 

『あつまれ どうぶつの森』もまた、新型コロナウイルスで人とのコミュニケーションが希薄になった時代に生まれた、という文脈を持つ。生まれるべくして生まれた傑作なのだ。

 

 

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A Short Hike

 

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アメリカのインディーメーカーのWhippoorwillが手掛けるアクションアドベンチャー。初代PSライクなちょっと粗いグラフィックの箱庭を自由に探索し、中央にそびえ立つ山の頂上を目指す。

 

一応頂上を目指す過程で困っている住人を助けたり、アイテムを集めたりといった行動が必要になるものの、難しさは一切なし。ひたすら自由で、どんな順番で箱庭を巡ってもいい。

また主人公のクレアが小鳥なのもポイント。羽ばたいて滑空でき、それがしがらみとは無縁のハイキングに拍車をかけている。とにかく快適で、どんな行動も苦にならない。

 

ちなみにこのゲーム、ボリュームとしてはかなり短く、2、3時間程度で終わる。だけど満足度はかなり高い。約2時間かけて、小鳥のクレアのちょっとしたロードムービーを鑑賞した。そんな気持ちにさせてくれる。

 

 

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22/7 音楽の時間

 

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やや頭打ち感のあるスマートフォン音ゲーだけど、そんなことお構いなしに2020年もたくさんの新作がリリースされた『プロジェクトセカイ カラフルステージ!』も『D4DJ Groovy Mix』も、本当にあの手この手だ。

そんなアプリのシーンにおいて、『22/7 音楽の時間』はバカ正直なくらいスタンダードな作品として誕生した。

 

例えば『D4DJ Groovy Mix』であればタップだけでなく画面下のスライダーも逐一動かさなくてはならない。一方『22/7 音楽の時間』は、タップとスクラッチ、あとは押しっぱなしのロングノーツがあるだけ。

 

それでも僕が10作品の一つに選んだのは、複雑さではなく遊びやすさに思い切って舵を切った点と、ファンコミュニティを信頼した点。

たぶんこれ、以前からのファンがついてこなければ一瞬で終わってたでしょ。ストーリーでは最初の世界観説明を省き、その代わりとしてキャラクターの個性を最大限に活かす。ちょっとしたセリフややり取りも、アニメを見て、人となりを知っているとより楽しめる内容。

 

どちらかというと音ゲーファンではなく、22/7を愛している人に向けて作られたゲーム。だからGOODでもコンボが継続する手軽さは理にかなっているし、実は計算されたシステムなのではと思う。

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今週の取材記事(11月23日~30日)

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「アサルトリリィ」のインタビュー記事その3&その4
この企画は9月の末くらいに始めて、ちんたらしてたらいつのまにか11月末になってしまった
アニメというのは生物で、スケジュールも抑えにくい
またインタビュー自体は結構前にやったので、ひょっとしたら「なんで最新話のあれを聞いてないの?」みたいなことも起こりがち

 

ちなみにアサルトリリィ関連はまだもうちょっとだけ続く
いつ掲載かは知らん

今週の取材記事(11月16日~22日)

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現在放送中の『アサルトリリィBOUQUET』のインタビュー。
連載と銘打ってあるとおり、まだもうちょっと続きます。

アニメのインタビューは難しいね。
たとえばゲームなら「ロード時間が長い」とか「UIが分かりづらい」とか、万人に共通する評価ポイントがあるんだけど、アニメはそこが曖昧だ。

僕がストーリーが悪いと思っても、他の誰かがいいと思ってるかもしれない。CGがしょぼくても、それを好きという人もいる。アニメの評価ポイントってそんなんばっかりだ。

だから僕は、わからないから話を聞いてるんだと思う。
アニメのことなんてわからないんだから、僕が生きる道はこれしかない。

今週の取材記事(10月5日~18日)

実は2週間分くらい溜まっていた

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劇場アニメ『WAVE!!~サーフィンやっぺ!!~』の完成披露会
通常なら舞台挨拶という形で劇場に行くところだけど、このコロナ禍、別会場で収録して、その映像を劇場で流す、という手法だった

 

僕も作品を仕事にかこつけて見させてもらった
サーフィンを題材にしたスポーツアニメで、初心者である主人公が大会出場を目指すのが大雑把なあらすじ

 

この手のアニメにありがちな嫌味を言ってくる対戦相手が一切いない、とても爽やかな世界だった

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『D4DJ』のライブイベント「グルミク Presents D4DJ D4 FES. ~LOVE!HUG!GROOVY!!~」
作中に登場する6ユニット・24名のキャストが集結するという豪華な内容で、観客もしっかり入っていた
オタクライブ特有の歓声がないのは違和感がすごいけど、それでも生で見られる環境になってきたことはひとまず喜ぼう

 

まぁ僕はオンライン配信を見るだけの取材だったけどね…
そっちのほうが楽だし
ひょっとしたらコロナ終息後も、現地に行かなくていいケースが増えるかもしれない
それって結構いいことなのでは

 

ここまで読んだ人だけのマル秘情報だけど
9月から職場が変わった
来月辺りから、新しい職場の効果が出てくるかもしれない
乞うご期待というか、僕が一番期待してる